誰の意志?  ~ 「クラウゼヴィッツの暗号文」 ~


この連休、お盆休みに持ってくのを忘れていたお中元を、おそまきながら両実家に無事搬送し(笑、
その後は特に予定もなかった為、久しぶりに古本屋へ・・・・。
学生の頃などはよく出入りしていましたが、最近とんと足が遠のいてまして・・・・。

書棚でたまたま目に留まったのが、この広瀬隆著「クラウゼヴィッツの暗号文」です。
広瀬氏の著作は、学生の頃に「東京に原発を!」や「ジョン・ウェインはなぜ死んだか」を読んで以来で、
あの頃は色々と考えさせられました。

e0071319_131629.jpgプロイセン(ドイツの前身)の軍人だったクラウゼヴィッツの著作「戦争論」は、世界的に有名な古典で、戦争をオブラートに包む事なく簡潔に説明していて、各国の士官学校でも教材として使われているようです。
私も、学生時代に古本屋で購入した記憶がありますが、未読のままどこかにいってしまったようで・・・・(笑。
この「戦争論」、実は著者の死後に妻と協力者達が遺稿をまとめて発刊した未完の書で、広瀬氏は未完部分を埋めるものとして、著者が触れなかった「人はなぜ戦争するのか・・・・」という大命題への答えを、この「クラウゼヴィッツの暗号文」の中で解き明かそうとしています。

この本には、資料として1945年8月15日から1991年(発刊当時)までに起きた戦争・内乱・暗殺が編年で書き込まれた世界地図があり、
その発生件数の多さと内容の残虐さには、とにかく驚かされます。
また別の地図では、その間戦争に突入していない国々が「白抜き」になっていましたが、
ヨーロッパではスカンジナビア半島のノルウェー、スウェーデン、フィンランドとデンマーク、アイスランド、スイスなどの国々で、
アフリカではリベリア1国のみ、アジアではブータンと日本の2ヶ国だけ、南北アメリカに至ってはゼロ、「真っ黒」というのが現実です・・・・。
軍備増強の理由に「抑止力」という言葉がよく使われますが、広瀬氏は抑止力が働くのは核兵器(Atomic)同士の戦争だけで、
B(Bio―生物兵器)、C(Chemical―化学兵器)、D(Dynamite―火薬兵器)、E(Edge―刃物兵器)の戦争にはまったく働いていない、
とその虚偽・欺瞞を突いています。そのことは、資料で十分過ぎるぐらい証明されていると思います。

巻末で、「戦争論」の未完部分を埋めるべき「人はなぜ戦争するのか・・・・」という問いに対する答えとして、
いみじくもクラウゼヴィッツ自身が「戦争論」の冒頭部分で「戦争は、決闘以外の何ものでもない」と書いているように、
それは「個人的意志」だ、という結論を導き出しています。
戦争は、逃れられない「人間の性(さが)」などではなく、敵を創作せずにはいられない者達(広瀬氏はクラウゼヴィッツ人と呼ぶ)の
戦争をめざす “意志”だ
、と。
「第2次大戦後の47年戦争史とは、47年扇動史だったと言ってもよい」とまで書いています。
高校生の頃に読んだ、あるジャーナリストの本に、
「『戦争は悪』だけでは本質が見えない。『戦争を画策し実行する者が悪』という認識を持たなければ、また同じことを繰り返させる」
と書かれてあったのを思い出しました・・・・。

クラウゼヴィッツと同時代を生きたベートーヴェンは、第三交響曲“英雄”をナポレオンに捧げ、第九交響曲合唱でシラーの詩を称揚したが、
ベトナム反戦運動に大きな影響を与えたジョン・レノンは、“ロール・オーバー・ベートーヴェン”(ベートーヴェンを踏みつぶせ)を熱唱し、
ベートーヴェンの“月光”を逆に演奏しながら“ビコーズ”という曲を作った、という小エピソードも印象に残りました。

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by syotikure | 2010-09-20 01:30 | 趣味(その他) | Trackback | Comments(0)
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